
*ご挨拶(本チラシ用)
2010年の晩秋に、トロッタ12は開かれます。会場は、早稲田奉仕園スコットホールです。煉瓦造りの礼拝堂で、1921(大正10)年に建てられた、東京都内でも有数の歴史的建造物です。早稲田奉仕園での公演はトロッタ5に次いで二度目ですが、特に今回、スコットホールのような、歳月のうちに人の思いを蓄積させてきた場所で開催できますのは、たいへんうれしく、身が引き締まる思いです。左にある「北の都に 七つの星が現われた 冬の夜のできごと」とは、堀井友徳さん作曲『北方譚詩』のうち「北都七星」の一節です。堀井さんは、伊福部昭先生に教えを受けた作曲家で、北海道からトロッタに初参加していただきます。北の作曲家に北の詩を託せたこと、女声三重唱というトロッタでは初の形式を採っていただいたこと。どんな世界が聴こえてくるでしょうか。宮?文香さんの『めぐりあい』は、これまでアンコール曲として歌われてきましたが、初めて独唱歌曲として演奏されます。酒井健吉さん『ガラスの歌』、清道洋一さん『イリュージョン illusion』、田中修一さん『ムーヴメントNo.3?未來の神話』、橘川琢さん 詩曲『黄金〈こがね〉の花降る』など、トロッタ12で初めて姿を現す力作が揃います。伊福部昭先生の『ギリヤーク族の古き吟誦歌』は、しばしば演奏される名曲ですが、32歳で書かれた初の歌曲と思えば、新たな気持ちで向き合うことができます。今井重幸先生の『シギリヤ・ヒターナ』は、作曲家が思いを寄せるジプシー(ロマ族)世界の音楽的表現です。秋の一日、古色ただようスコットホールに、ぜひお越しくださいませ。
*遠い秋を想う夏の朝に 木部与巴仁
*ご挨拶 TOROTTA12に向けて(仮チラシ用)
詩と音楽を歌い、奏でる「トロッタの会」が、12回を迎える。2008年1月の第5回公演の会場となった早稲田奉仕園にお越しいただきたい。前回はリバティホールだったが、今回は同じ敷地にある礼拝堂、スコットホール(講堂)が舞台である。1921年に完成した、東京都の歴史的景観保存建造物だ。
■伊福部昭の作品は、『知床半島の漁夫の歌』(1960)、『摩周湖』(1992)に続いて、作曲者初の歌曲『ギリヤーク族の古き吟誦歌』(1946)を取り上げる。詩は伊福部本人である。
■今井重幸の『ギター独奏・ピアノ・打楽器の為の協奏的変容「シギリヤ・ヒターナ」』(1992)は、オーケストラ版は演奏されたが、室内楽版は初演。作曲者が愛するシギリヤのリズムをお聴きいただきたい。
■橘川琢の『詩曲 黄金〈こがね〉の花降る -紫苑・くろとり・黄金の花降る・檸檬館-』は、2作目となる詩曲の初演。ヴァイオリニスト二人に加え、花の上野雄次も加わる編成が楽しみだ。
■清道洋一の『イリュージョン illusion』は初演。前回、評判の高かった『「いのち」より』が記憶に新しいが、彼の曲はまったく予測がつかない。作曲家本人が、予測できないことをしているのである。
■酒井健吉の『ガラスの歌』は、2010年3月、邦楽器を主に初演されたが、今回は新たな編成となる。会の名の起こりとなった『トロッタで見た夢』(2005)を書いた、長崎在住の作曲家である。期待しよう。
■田中修一の『ムーヴメントNo.3?木部与巴仁「亂譜 未來の神話」に依る』も初演。『ムーヴメント』シリーズの3曲目である。初めて用いられるギターは、作曲家が少年期から愛奏する楽器だ。
■堀井友徳の『女声三部とピアノのための「北辺の譜」 1.北都七星 2.蝶の記憶』も初演である。北海道在住の作曲家が、北の町を舞台にした詩を選んでくれた。三部合唱による二曲という意欲作である。
■宮?文香の『めぐりあい』は、トロッタのアンコール用合唱曲として、6回、すべて別の詩で歌われ、親しまれてきた。これを独唱歌曲として初演する。また違った味わいが生まれるだろう。作曲者は、新たなアンコール曲に、『たびだち』を書き下ろす予定である。
■木部与巴仁の『ヘンリー八世の主題による詩唱曲』は、曲は16世紀のイングランド王によるもので、これに木部与巴仁が詩をつけ、ヴァイオリン、ヴィオラによって演奏される。
古色ただよう会場で開催される初のトロッタ。TOROTTA12に、ぜひお越しください。
(木部与巴仁)
チラシのデザインは、すべて小松史明さんによります。